アートな映画

ドラマ

TAR /ター

クラシック音楽界の頂点を極めた女性指揮者リディア・ターの栄光が、とある告発をきっかけに、脆くも瓦解していく。果たしてそこには陰謀があるのか、誰かの裏切りなのか、それともすべては彼女の野心と慢心が引き起こしたことなのか。才能にあふれた野心的音楽家が、次第に疑心暗鬼の中で “闇”に堕ちていく姿を、ケイト・ブランシェットが入魂の演技で魅せる。
アートな映画

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊/The French Dispatch of the Liberty, Kansas Evening Sun

鬼才ウェス・アンダーソン監督のメディア愛と映画愛がほとばしる、風変わりでチャーミングでアーティスティックな映像世界。案内人は、フランスの架空の街を拠点とする架空の雑誌「フレンチ・ディスパッチ」の名記者たち。急死した編集長の追悼を込めてそれぞれが書き上げた奇想天外な記事が、そのまま映画のストーリーとしてオムニバス形式で展開していく。主役級の名優たちが絢爛豪華に大量出演しているのも見もの。
ドラマ

皮膚を売った男/The Man Who Sold His Skin

難民となって祖国を追われた男が、恋人と会いたい一心で、気鋭の芸術家からの“メフィスト”的な申し出を受け入れる。それは大金とともに“移動の自由”を得る代わりに、背中の皮膚を売ること、すなわち芸術家の手によるタトゥーを彫ることでアート作品となることだった。難民や人権や格差といった難題を下敷きにし、さらに現代アートの巧妙な錬金術をも俎上にのせつつ、緻密な映像と飄逸なストーリー展開で魅せるユニークな作品。
ドラマ

トーベ/TOVE

日本でもいまなお大人気のムーミンの「生みの親」、トーベ・ヤンソン。フィンランドが見舞われた苛酷な戦争の時代を生き抜き、創作においても恋愛関係においても「自由」を求めつづけ、ついに世界的作家となるにいたったその型破りな生き様を、女性監督ならではの共感を込めて、繊細に、チャーミングに描く。
アートな映画

サスペリア/SUSPIRIA

今なお“恐怖映画”の金字塔と呼ばれる「サスペリア」を、「君の名前で僕を呼んで」で世界的評価を獲得したルカ・グァダニーノ監督がリメイク。舞台をオリジナルが公開された1977年のベルリンに設定しなおし、魔女たちの儀式や狂宴というおぞましいオリジナルの世界観を換骨奪胎、深淵で重層的なグァダニーノ的映画美に昇華した異色の傑作。
ロマンス

燃ゆる女の肖像/Portrait of a Lady on Fire

結婚においても職業においても圧倒的な男性優位の社会のなかで、女性同士が互いの知性と感性を認め合い、共感に満ちた時間を熱く、静かに交換しあう姿に魅了される。「こんなロマンスをこそ待ち望んでいた」と言いたくなるような、愛着の一本。
ドラマ

ジャコメッティ 最後の肖像/Final Portrait

アメリカ人美術評論家のジェイムズ・ロードの体験記をもとに、天才アーティスト・ジャコメッティの創造の秘密に、洒脱に、ユーモラスに迫る。画家とモデルのあいだでかわされる心理合戦をジェフリー・ラッシュとアーミー・ハマーが熱演。